2020年1月6日
経過中に喘息が重い発作を起こし、救急受診となったり、あるいは入院となることがあります。これは、治療費を増やし、患者さんや家族を不安にします。このような重い発作は、「急性増悪」あるいは「急性発作」と呼ばれています。
2019年8月、欧州アレルギー・臨床免疫学会と欧州呼吸器学会がその対策について共同で声明を発表しました。ここでは、その要点を紹介します。
Q. 喘息の急性増悪とはなにか
国際的な喘息対策の専門委員会(GINA)では次のように定義しています。
・症状が次第に悪化していく。
その症状とは、息切れ、咳、喘鳴、胸のしめつけ感を指す。
・肺機能はいつもより低下している。
・診察では次のような所見がある。
呼吸数は1分間に30回以上、脈拍数は1分間に120以上、酸素飽和度は90%以下、呼吸のたびに頸部の呼吸補助筋が目立つ。
ピーク・フロー値はいつもの50%以下。
Q. 急性増悪を起こす背景は何か
・誘因がある。
・処方された薬剤を指示された通りに使用していない。
・体質的に重症化する素因がある。
・急に過敏な反応を起こす。
・喘息以外に合併症がある。
Q. 急性増悪を起こしやすい合併症は何か
・肥満。
・職業上でのストレス。
・過敏症。
・室内および大気汚染。
・広い範囲での末梢気道(細い気管支)の傷害。
・肺の弾力性の低下があり肺が収縮しにくくなっている。
Q. 委員会からの勧告の結論
・軽症や重症を問わず急性増悪は決して起こってはならないことを目標とする。
・急性増悪がくり返し起こらないようにする。
・吸入薬など、治療薬をきちんと使うよう医療者と患者が協力しあう。
・室内、大気汚染が誘因とならないようにする。
・治療は患者と医療者の対話として行っていくこと。
治療中のすべての喘息患者さんについてどのようにして急性増悪(発作)を起こさないようにするか、の目標をまとめています。
治療をできるだけうまく進めていくためには「治療は患者と医療者の対話として行っていくこと」という提言を重く受け止めています。
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