

No.352 問題点が大きい睡眠時無呼吸症候群とCOPDの重複
2026年3月30日 一つの病気の経過中に他の病気が重なってくる状態は 合併症 と呼ばれています。一般に慢性に経過する病気で怖いのは、連鎖となり、それぞれが悪化していき、治療によっても乗り越えられないことが多くなることが問題です。加えて加齢変化、それに伴う臓器の機能低下、という避けられない要素が加わっていきます。 合併症が多くなれば、投薬の種類が多くなることも避けられない問題点です。薬どうしの相互関係に関するデータは十分でなく、3種類以上の服薬では相互作用が読み切れない、というデータもあります。しかし、多くの慢性疾患は継続治療が必要であり、現在と将来の危険度を見据えて処方内容を考えていく工夫が必要となります。 息切れや咳、痰の症状からCOPDは気管支喘息と並び比較され、また両者が共存している患者さんを多く診てきました。COPDは気管支喘息とは異なり、多臓器にわたる病変の共存が特徴の一つです。COPDでは、合併症とは呼ばず、 併存症 と呼ばれる理由がここにあります。COPDの治療対策、考え方で参考にすべき点です。COPDの併存症の考え方が
3月30日
No.351 特発性肺線維症の新治療薬
2026年3月27日 多くの臓器では組織の構造変化が、その臓器がもつ特有の働きを低下させていきます。肺では、間質性肺炎と一括して呼ばれる病気がその一つです。研究の進歩に伴い間質性肺炎は、細分化されています。その頂点にあたる難易度の高いのが 特発性肺線維症(IPF) です。頂点の治療がうまくいけば、おそらく、その亜流に近い診断を有する間質性肺炎は、それを参考にしながら進めることができる可能性があります。 過去約20年間で、 特発性肺線維症(IPF) の原因とメカニズムの理解が大きく進展しました。この進歩は、特発性間質性肺炎およびその他の 間質性肺疾患(ILD) の分類と定義の標準化に向けた学際的な取り組みの結果です。 間質性肺疾患(ILD) には 300種類以上 といわれる肺の間質病変が含まれています。その中でも原因を特定できない一群は、 特発性間質性肺炎(IIPs) と呼ばれています。IIPsは、さらに 6種の主要診断 と、 2つの稀な疾患 の計8疾患に加え、分類不能型1種の 計9種類の疾患 から成り立っています。 特発性肺線維症(IP
3月27日
No.350 重度の息切れを緩和する治療法
2026年3月17日 じっとしている時にも強い呼吸困難があり、治療を必要とする方がいます。重症のCOPD、重い間質性肺疾患、心不全、終末期のがんがその典型です。健康な人では、急な坂道や、重い荷物を持ったときに息切れを訴えることは普通にみられますが、安静な日常の生活の中で、肩で息をしている人を診ると、こちらも苦しくなるような深い同情を覚えます。 「息切れ」は、日本語では、日常の会話でも使われ、古くから知られる言葉です。英語圏でもshortness of breathと表現され、「あえぐこと、能率の低下、気力の消失」とあり、「精神的に」、「経済的に」と多様な表現があります(新和英大辞典、研究社)。身体的な苦しさ、が社会と深く関係することを示していると言えます。 個人的な訴えである 息切れ をどのように客観的な共通用語で表現、評価していくかの新しいアプローチは、診断の精度を向上させる研究として進んできています。しかし、息切れは個人的な訴えであり、臨床現場では依然として過小診断されています。聞いてもらえない、分かってもらえない、という声は少なくあ
3月17日


No.349 難しいCOPD、喘息の区別―MRIによる新しい検査方法―
2026年3月12日 X線の発見は、ドイツの物理学者、ヴィルヘルム・レントゲン(1845 – 1923年)が1895年に報告し、この功績により、1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。X線という呼び名も彼が命名したと、言われます。現在、使われているようなX線による胸部写真が利用できなかったら呼吸器疾患だけでなく医療における診断や治療の現在は、ほぼなかった、といえる貢献度です。 X線に加えて 磁気共鳴画像法(MRI)は、近年の医療の中では、大切な検査方法の一つとなっています。歴史的には、1970年代初頭、ポール・ラウターバーとレイモンド・ダマディアンが核磁気共鳴(NMR)技術を生物のイメージングに応用し、画像を生成することに成功しました。その後、サー・ピーター・マンスフィールドらによって開発された画像取得、処理の改良により、詳細な解剖学的な可視化が向上し、MRIの臨床応用がより広く可能になりました。ラウターバーとマンスフィールドは、医療画像への貢献により2003年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。 肺の病変は、CT検査と
3月12日
No.348 睡眠障害、多忙、高血圧、心血管病変―危険な連鎖
2026年3月4日 不眠症は、病気の種類に関係なく、診療の現場では多い症状の一つです。有病率の推定値は、不眠症の定義によって異なりますが外来患者を対象とした横断調査では、成人の3分の1から3分の2が重度の不眠症状を訴えている、という報告があります。多忙な中年世代に共通する症状といえます。 中年だけでなく、不眠症は高齢者に多く見られ、その有病率の高さが指摘されています。また、女性は思春期に不眠症が始まり、妊娠および閉経前後・閉経後に悪化する確率が1.2倍から1.4倍高いと言われます。 呼吸器疾患は、不眠症と関わりが深いことが知られています。 呼吸器疾患をもつ患者の25~50%が不眠 を報告しています。さらに、COPD、喘息の症状や急性悪化の頻度は不眠症の重症度と関連しています。喘息の患者では、夜間に気道内の分泌物が蓄積し、夜間の気管支収縮などの症状があり、不眠の原因となることがあります。高齢女性に不眠が多いこと、喘息は夜間や早朝の時間帯に悪化が多いこと、高齢女性では独居が多いこと、などの事情があり、診療では夜間の状態を特に注意して聴くこと
3月4日
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