No.345 成人喘息に対する新しい治療薬 ― 抗サイトカイン生物学的製剤の効果 ―
2026年2月19日 喘息の症状やこれに伴う肺機能が悪化するエピソードは、 喘息の急性悪化 と呼ばれています。これらは喘息の症状として現れることもあれば、ウイルス性上気道感染症、アレルゲン、大気汚染やその他の刺激物への曝露、コントロール治療薬の不遵守(指示されたように治療薬を使っていない)、または未知の刺激などの「引き金」に反応して既知の喘息診断を受けた患者さんに起こることがあります。 喘息として治療を受けている人が急に症状が悪化する「急性喘息の悪化」は患者さんにとっても医療者側にとっても大変な負担であり、危険な状態です。若いころ、病院で当直をしていると夜中に救急車で搬送されてくる患者さんが2,3人はいたものです。それも深夜帯から夜明けに多く、緊急検査を行い、ステロイド薬の点滴や酸素吸入などの救急治療の指示を出すまでには1時間近くかかります。当直明けはヘトヘト状態で、続く日勤帯の業務を行わなければならない。呼吸器内科医の希望者が少ない理由の一つでした。実際、 急性発作による喘息死 が多かったのもこの時代でした。 教科書には次のように書
3 日前
No.344 肺と心臓の病気に関わるタバコ問題
2026年2月12日 呼吸器科医はタバコを天敵と考えているのだろう、昔、同僚の医師にからかわれたことがあります。彼の専門は、糖尿病でしたが彼自身が、ヘビー・スモーカーでした。当時の副院長は循環器内科が専門であり、タバコ嫌いで通っていました。「君が吸うのは、分かって吸うのだからしようがない。しかし、吸った煙は吐き出すな、他人に迷惑だ」と怒りをぶちまけたことを思い出します。 厚生労働省は、2000年から、健康増進を図るための国民運動「健康日本21(二十一世紀における国民健康づくり運動)」を進めています。健康で長生きする「健康寿命の延伸を図る」が目的です。健康課題に対して目標数値を定め、計画的に生活習慣の改善などを目指しています。その内訳は、「栄養・食生活」「身体活動・運動」「休養・こころの健康づくり」「歯の健康」「たばこ」「アルコール」「糖尿病」「循環器病」「がん」の9分野です。この運動は、2024年度より「健康日本21(第三次)」の活動に引き継がれています。 COPDと心血管疾患は高頻度で併存する ことが知られており、両疾患が併存することで
2月12日
No.343 簡単な血液検査でCOPDの診断ができるか?
2026年2月4日 欧米では肺結核の治療方針が一段落した1950年代半ばから、呼吸器疾患の次の大きな課題はCOPDの早期診断と適切な治療に移りました。この時期にいわば暫定病名として提案されたCOPDの診断名が認知されてから70年以上になります。現在でも使われていますが、肺気腫、慢性気管支炎を統合した名称です。わが国では、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれていますが、患者さんに病気を分かりやすく説明するのに苦労する病名の一つです。 COPDの治療の目標は、日々、苦しめている症状と将来、さらに問題を起こすだろう、という問題を区別して解決策を立てること、さらに急に悪化する 増悪 がないように気配りを継続することが必要です。説明をさらに難しくしているのは 併存症 と呼ばれている病気の種類の多さです。 現在、 COPDの併存症 として報告されている疾患は以下の通りです。 肺がん、心血管病変、睡眠呼吸障害、糖尿病、腎機能障害、骨粗鬆症、胃食道逆流症、鬱病や不安障害。さらに認知症などが挙げられています。 通常、実施されるような検診でCOPDの早期病変が指摘される
2月4日


No.342 COPDで寝たきりにならないための工夫
2026年1月30日 喘息とは異なり、COPDは中高年に多い慢性疾患であることは世界に共通しています。しかし、発症年齢の比較では、米国では50歳代の半ばから多くなりますが、わが国では60歳半ば頃から多くなり、 高齢者層に多い病気 となっています。従って、COPDに特徴的な症状は、高齢者に多い他の慢性疾患と共通する問題点と重なり合ってくることになります。 COPDは、わが国では、咳、痰の症状が強い 慢性気管支炎型 よりも階段を昇る時が苦しい、というような 肺気腫型 が多くみられます。後者は、日常の生活で買い物や散歩などわずかな運動で息切れが起こり、患者さんの日常の活動性をしだいに低下させていき、日常生活を次第に不自由にしていく、やっかいな状態です。 加えてCOPDの治療で問題となるのが併存症、すなわちCOPDの悪化と並び、経過中に加わってくる 高齢者に共通する呼吸器以外の慢性の病気 です。 COPDの治療経過では次の3つのパターンが危険視 されています。これらは、いずれもCOPDの重症度には必ずしも関係しない形で起こることが知られています。.
1月30日
No.341 注目を集めている気管支拡張症の新治療薬
2026年1月26日 これまでにない仕組みによる新しい薬の開発が進み、市販が近づくと、それに合わせ、病気のどのような段階に使い、効果の現れ方をどのように検証していくか、使う際の注意点や副作用はなにか、など周辺の情報が急速に進歩していくことはこれまでに多くの例でみられています。いま、 気管支拡張症 が注目を集めています。 肺は外界に開放している内臓であり、常にさまざまなウイルスや細菌が外界から持ち込まれるリスクが高い状態に置かれています。心臓や肝臓、腎臓と比較してみると置かれた立場は著しく異なっています。むしろ肺と類似しているのが腸管です。 体内および体内に生息する細菌、菌類、ウイルスの集合体は マイクロバイオーム と呼ばれており、宿主の防御機構に深い影響を与え、自然免疫系の一部と考えられています。体内の微生物組成は免疫応答の成熟とその持続的な効果に直接影響を与え、病原体の過剰増殖を防ぎ、炎症と免疫恒常性のバランスを調整します。例えば、口腔内細菌叢は共生バイオフィルムを形成し、pHレベルを調整し、口腔内の病原体の増殖を抑制します。また、腸
1月26日
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