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No.35 カゼとはどのような病気か


2020年2月7日


 カゼは先進国の急性疾患の中ではもっとも頻度の高い疾患として知られています。大人は平均年間2-3回、カゼを引くといわれています。


カゼ(common cold)には明確な定義はありませんが、軽症でウィルス感染による上気道の炎症をさすものと考えられています。ただし、急性気管支炎、急性で細菌性の副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、百日咳などは除くことになっています[1]。


極めてありふれた病気でありながらカゼに関する研究論文は、多くはありません。ここでは、成人のカゼについて現在、まとめられている情報[1]についてお知らせします。




Q. カゼを起こすウィルス?


・細分類したものを含めると、カゼを起こすウィルスは約200種類あるといわれている。うち、ライノウィルスはカゼの30-50% に相当するといわれるが、感染しても無症状のことがある。

・ライノウィルスには100種類以上が知られている。

・コロナウィルスは、カゼの10-15%を占める。

・ウィルスが起こすカゼには季節的な特徴があり、インフルエンザ、パラインフルエンザは冬季に多い。インフルエンザはカゼの5-15%を占める。

・アデノウィルス、エンテロウィルスもカゼを引き起こす。エンテロウィルスにはエコーおよびコクサッキーウィルスが含まれ、髄膜炎や胸膜炎を引き起こすことがある。アデノウィルス感染は季節に関係なく、軍隊などで集団発生を引き起こす。




Q. 感染の予防?  

 

・手から手(hand-to-hand)の頻度がもっとも多いといわれるが、これは握手が生活習慣になっている人たちでの特徴であろう。皮膚の表面でウィルスは、2時間以上は生存しているというデータがある。


・換気が制限されている航空機内での空気感染の可能性は否定されており、また、冷気を吸入したという理由で感染が増えることはない。


・テイッシュペーパー、ハンカチに付着したウィルスには感染能力がないというデータがあるが確かではない。


・市販の消毒薬には予防効果がある。


・カゼに罹患している人の90%以上の人の唾液中にはウィルスは証明されていない。



以下は新型コロナウィルス肺炎を予防するため米国胸部学会が患者向けに出している注意事項です[2]。


・手洗いは石鹸と水で少なくとも20秒洗うこと。もし、石鹸、水が使えないようならアルコール入りの消毒液を使うこと。


・汚れた手で目、鼻、口に触らないこと。


・病気の人に近寄らないこと。


・咳、くしゃみをするときはテイッシュで被うこと、その後それをゴミ箱に捨てること。


・触れたものや、その表面はきれいにし消毒を行うこと。


・自分が感染者に近づき、しかも症状があるときには医師などに相談すること。




Q. カゼの経過?


・健常者ではカゼの全経過は3-10日間とされてカゼをひいた人の25%の人では軽い症状も含め2週間は症状が残るといわれる。




Q. どのように診断するか?


 問診と診察では胸部の聴診が重要である。その結果、肺炎との鑑別が必要であれば簡単な血液検査(白血球数、CRP値、白血球の左方移動など)を行うことがある。流行期であればインフルエンザの検査が必要となる。




Q. カゼの合併症?


 カゼが原因で引き起こされる合併症には副鼻腔炎、鼻炎のほか、肺炎、喘息やCOPD(肺気腫、慢性気管支炎:慢性閉塞性肺疾患)の増悪がある。




Q. カゼを引くリスク因子?


・慢性疾患の治療中

 糖尿病、虚血性心疾患、喘息、COPD(肺気腫、慢性気管支炎;慢性閉塞性肺疾患)がある人では肺炎を起こし重症化しやすい。


・低栄養状態

 高齢者で寝たきりに近い状態では低栄養が多い。カゼが原因で重症の肺炎になりやすい。


・喫煙者

 喫煙者はカゼを引きやすい。




 冬季には、インフルエンザなどウィルス性感染症が多くなっていますが、その中で新型コロナウィルス肺炎が拡大してきています。カゼと肺炎は明らかに異なる病気ですが、新型コロナウィルス肺炎は、上気道感染症状が短時間のうちに下気道へ広がり肺炎を起こすようです。高齢者では見分けが難しいこと、慢性疾患がある場合、低栄養状態では悪化しやすくなる可能性があります。




参考文献


1.Sexton DJ et al.The common cold in adults: Diagnosis and clinical features.Up-to-Date This topic last updated: Dec 27, 2019.


2.Novel Wuhan (2019-nCoV) CoronavirusPublic information series, American Thoracic Society. AJRCCM Articles in Press. Published on 31-January-2020 as 10.1164/rccm.2014P7


※無断転載禁止

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