No.53 注目される重症喘息と睡眠時無呼吸症候群の併存状態


2020年4月22日

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は中年で肥満の男性に頻度が高い病気です。

気管支喘息は、女性に多い病気ですが、最近、OSAと気管支喘息が共存し、互いに深く関係し、悪化させることが注目されています。ここで紹介する論文[1]は、両者の関係を詳しく解説しています。以下に要点を記します。




Q.OSAと喘息の共存


  • OSAは喘息を悪化させる危険因子である。

  • 両者が合併すると喘息が悪化することがある。

 特に肥満を伴う喘息では共存が疑われる。




Q.共通し、悪化させる他のリスク?


以下は、両者にみられることが多く、しかもOSAと喘息の両方を悪化させる。

  • 鼻炎

  • 胃食道逆流症

  • 肥満

鼻閉を伴う鼻炎は喘息でしばしばみられ、OSAでは症状を悪化させる。

胃食道逆流症は、夜間睡眠中の胃液逆流により気道に入りこみ喘息を悪化させる。

胃食道逆流症は、肥満、喘息のどちらでも起こりやすい。



Q.OSAの問題点?


  • OSAでは上気道の炎症がありむくみ状態がある。また無呼吸により繰り返す低酸素血症が全身性炎症を促進させる。これは心血管に深く影響を与え高血圧、動脈硬化、不整脈の原因となる。

  • 睡眠中に繰り返し起こる無呼吸発作のたびに強い低酸素血症が発生するがこれが炎症を促進させる。



Q.喘息併存の問題点?


  • 喘息発作は夜間、就寝中に起こりやすい。これにOSAが加わると低酸素血症が増強する。

  • 喘息があるとOSAのリスクは2-3倍に高まることが知られている。

  • 喘息は女性に多く、肥満で悪化する。肥満はOSAの頻度を高める。




Q.鼻炎、逆流性食道炎、肥満は喘息とOSAの両方を悪化させる?


  • アレルギー性および非アレルギー性鼻炎は喘息の80-90%で併存する。

  • 鼻炎は喘息のリスク因子である。

  • アレルギー性鼻炎があるとき鼻腔の空気抵抗は夜明けに上昇する。他方、OSAでは無呼吸は早朝に起こりやすく、しかも、早朝に喘息発作が起こりやすい。

  • 逆流性食道炎は喘息、OSAの両方を悪化させる。



Q. OSAと喘息の共通点


  • 全身に影響が及ぶ炎症、呼吸運動に関する神経作用と免疫機能の相互作用の異常が問題。

  • 吸入ステロイド薬は喘息における気道炎症を改善。OSAでは炎症状態にある上気道を改善する。

成人で起こる喘息で肥満型の患者さんは悪化しやすく治療が難しいことが多くなります。

特に高齢者ではOSAが起こりやすく、夜間に強い喘息発作が起こると喘息で死亡する、喘息死の危険が高くなります。治療方針は両者を見据えて実施しなければなりません。

参考文献:

1. Prasad B.et al. Asthma and obstructive sleep apnea overlap: What has the evidence taught us?

Am J Crit Care Respir Med 2020, in press.


※無断転載禁止

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