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喘息・咳喘息

喘息

● 特徴

  • 具体的に以下の症状がある場合は気管支喘息や咳喘息の可能性があります。

・風邪のあとに咳だけが長い期間残りやすい
・春先や初秋頃など、気候の変わり時に咳などの症状が出る
・8週間以上、咳が続いている(8週間以上続く咳を慢性咳嗽といいます)
・発作的に咳や痰が出て息苦しくなる(激しく咳込むのみならず、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴うこともあります。ただし咳喘息では通常このような音が出ません
・夜間や早朝に症状が出やすい
・アレルギー体質である
・小児喘息があった
・家族に気管支喘息の人がいる
・点眼薬や鎮痛薬の副作用で喘息が起こることがある
・気管支拡張薬の吸入により楽になる
・40歳以上で喫煙者の場合は、COPDである可能性も疑われます

  • 咳喘息ではゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)を伴わず、激しい咳が症状の主体となりますが、ともに気管支の慢性的な炎症が主な原因です。

● 診断

  • 喘息は通常、胸部レントゲン写真撮影では異常を認めません。肺機能検査により、気道の空気の流れが悪くなって(=気流制限)息が吐きだしにくくなっているかどうかを調べます。気管支拡張薬を吸った後に気流制限が改善されることが喘息の特徴です。

  • 痰の検査や吐いた息の中の一酸化窒素の濃度を測定することで、気道の炎症の有無や程度を検査します。

  • 血液検査でアレルギー体質が確認される場合もあり、特にハウスダストやダニ、ペットのフケやカビに対するアレルギーが多く認められますが、原因物質が特定できないこともあります。

喘息.png

● 治療

  • ​治療の主役は肺に吸い込んで使用する吸入薬です。ステロイド薬と気管支拡張薬の2種類があります。ステロイド薬は気道の炎症を抑える効果があり、長期的に安定化させるための喘息の基本治療となります。

  • 症状の強さにより,長時間効果の持続する気管支拡張薬の吸入薬やアレルギー性炎症を抑える効果のある内服薬を併用します。

  • 当クリニックでは重症の喘息患者さんの場合、注射による抗体薬治療も積極的に実施しています。内服ステロイド薬が頻回に必要な方、従来の治療薬のみでは症状が安定しない方が投与対象になります。

  • 発作時の治療には短時間で効果の現れる吸入薬を用いるほか、発作が重症である場合には点滴や内服薬のステロイド薬を用います。

  • 症状を悪化させる原因を避けることも重要です。タバコは喘息を悪化させるため、患者さん本人だけでなくご家族や周囲の人もタバコを避ける協力が必要です。

  • 原因となるアレルギー物資(ハウスダスト,カビ,花粉など)を避けるため,住まいの環境や生活スタイルの見直しも有効です。女性の喘息では肥満も悪化因子となります。

  • 喘息は高血圧や糖尿病のように慢性の病気であり、継続的な治療が必要です。適切な薬を使用することで、健常者と同様の生活を送ることができます。

  • 咳喘息の患者さんの約3割は気管支喘息に移行するとも言われています。気道炎症が残った状態が長引くと気道が固く変化(気道リモデリングといいます)し、空気の流れが悪化し元に戻せなくなることがあります。症状が軽くなっても自己判断で治療を中断しないようにしましょう。定期的に検査を受けて、炎症が落ち着いていること確認してもらいましょう。

  • 喘息の治療は今の症状を取るだけではなく、その先の将来の悪化を予防することが最終の治療目標です。

● 慢性咳嗽の原因

  • 気管支喘息や咳喘息以外で咳が長く続く原因として、カゼ症候群後の咳、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群、後鼻漏、薬剤性咳嗽、COPDなど様々なものがあります。

  • 近年は過敏性咳症候群という概念も提案されており、上記のような基礎疾患に加えて脳神経系内に咳が過敏に出てしまう神経伝達経路が出来上がってしまうと推定されています。このような場合は、通常の喘息治療薬が効きにくいことが多く難治性咳嗽とも呼ばれます。

  • それぞれの病態により使用する薬剤が異なるため、きちんと診断したうえでの適切な治療を受けましょう。

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