2020年3月12日
カゼと急性気管支炎はどう違うのか、急性気管支炎と肺炎はどのようにちがうのか。
Q. 急性気管支炎の特徴?
急に咳で発症することが多く、痰は出ることも出ないこともある。次々と感染が広がることはなく(self-limited)、1-3週間の経過で治る。
Q. 医師が行う治療の方針?
対症的な治療を基本とする。同時に患者さんに生活の上で注意することを伝える。抗生物質は不要である。
Q. 定義は何か?
比較的太い気道(気管支)から細くなっていく気管支の炎症であり、肺炎を起こしていないこと。ただし、COPD(慢性閉塞性肺疾患;肺気腫、慢性気管支炎)がある場合には急性気管支炎とは呼ばない。
Q. 頻度はどのくらいか?
米国では全外来患者数の10%で年間のべ1億人がかかる。
Q. 急性気管支炎の病原体はなにか?
研究として知られているのは次の6種のウィルスである。日常の臨床ではインフルエンザ以外では百日咳、マイコプラズマ感染の可能性を疑い検査を行うことがある。
インフルエンザ、A型、B型
パラインフルエンザ
コロナウィルス 1型、2型、3型 ➡新型コロナウィルスとは異なる
ライノウィルス
RS ウィルス
ヒトメタニュモウィルス
その他として、百日咳菌があり、細菌ではないがマイコプラズマ、クラミジアがある。
Q. 急性気管支炎の臨床経過?
・全経過は1-3週間。咳に加えて痰を伴うことがある。痰は膿性や非膿性(透明あるいは白色)のことがある。
・多くはカゼが先行して、やがて急性気管支炎となる。頭痛、鼻閉、咽頭痛、はカゼ症状と重複する。気道の炎症が下気道に広がるにつれて咳がでるようになる。
・咳と共に軽度の息切れを伴うことがある。また、咳とともに筋肉痛を伴うことがある。
Q. どのように診断するか?
・急性発症であり、咳の持続期間は1-3週間内であり、肺炎には至っていないこと。肺炎を疑う場合は、発熱、頻脈、胸部の聴診で雑音が聴かれる場合。
・肺炎を疑う場合は以下のどれかに当てはまる場合
脈拍数が1分間に100以上
呼吸数が1分間に24回以上
体温が38℃以上
酸素飽和度が95% 以下
Q. 治療はどうするか?
鎮痛剤、解熱剤の対症療法を原則とする。抗生物質は服薬しなくとも良い。
Q. 注意点は何か?
基礎疾患としてCOPDあるいはCOPDに極めて近い場合には抗生物質、ステロイド薬の投薬を考える。したがってCOPDやこれに近い肺の病変がすでにあるかどうかの判断が重要である。
Q. 予防法は何か?
・手洗いが重要。
・咳が出る場合にはマスクをする。
・温かい水蒸気の吸入は症状を和らげる。
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