No.340 雷雨、黄砂、地球温暖化、気象変動、山火事と共に悪化する呼吸器症状
2026年1月20日 多くの呼吸器疾患の悪化が、気象と密接に関係することは知られています。黄砂被害や、花粉症、あるいは梅雨のころに喘息症状が頻回となり、COPDが一時的に悪化する「増悪」が多くなることは、しばしば、経験します。さらに温暖化が警戒される中での猛暑の頃や、逆に厳寒のころの増悪も多くみられ、その都度、呼吸器内科医は多忙になります。同僚の医師たちからは呼吸器内科医は季節労働者だね、とからかわれたことがありました。 喘息の転地療法が勧められた頃もありましたが他方で、高地、高山でかえって喘息症状の悪化を報告した論文があります。2,000m級の高地であってもPM2.5などによる大気汚染が見られることがあり、警告されています。気候や、大気の安定性は、呼吸器疾患だけでなく脳神経系を含む恐らく全身が、安定した健康状態の維持に関連しています。 皮肉なことに喘息の治療薬そのものが大気汚染の原因となると指摘された時期がありました。喘息やCOPDの治療として広く一般的に処方されているのが吸入薬です。用いられる計測型吸入器(MDI)には主薬とともにこれを
1月20日
No.339 栄養管理が大切な高齢者のCOPD
2026年1月16日 COPDは、中高年に多い疾患ですが、古くから、体形により太ったCOPD、やせたCOPDの2つのタイプがあることが知られています。太ったCOPDは blue bloater型 , やせたCOPDは pink puffer型 と呼ばれてきました。極端な、太りすぎも痩せすぎもCOPDの治療を難しくさせます。 当初は、blue bloater型は痰が多い慢性気管支炎型であり、pink puffer型は肺気腫型と考えられていました。現在では、体形から分類されることはありませんが、肥満を伴うCOPDは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を伴うことが多く、CPAP治療が必要となることが多く、他方、やせたCOPDでは、息切れが強く、しかも重症化とともに低酸素血症がみられることが多く、治療として在宅酸素療法が行われることが多いようです。 以前の分類であるblue bloater型も、pink puffer型も呼吸器系の治療と同時に栄養管理が共通して大切です。 pink puffer型では、主にエネルギー需要の増加と栄養摂取不足により、栄養状態の異
1月16日
No.338 大気汚染が認知症の原因の一つではないか?
2025年12月27日 大気汚染 は、COPDや喘息など慢性の呼吸器疾患の原因と悪化に深く関わる社会的な問題点とされてきました。 COPDの総寄与リスクの50%は大気汚染に関連 している可能性があると報告されています。1962年に制定の「煤煙の排出の規制等に関する法律(ばい煙規制法)」は、日本で最初の大気汚染防止に関する法律として知られています。 さらに1970 年には、公害問題に発展し、国会において、公害問題の早急な改善と汚染の防止を徹底するため、公害関係法令の抜本的整備が行われ、この時の大気汚染防止法の大幅な改正が、現在の原型となっています。 高齢者の人口が増えるに従い、問題となるのが認知症です。レビー小体型認知症は、アルツハイマー病および血管性認知症に次ぐ認知症の最も一般的な原因の一つです。 レビー小体型認知症を発症させる正確な原因は分かっていませんが、 高齢化、環境因子、遺伝 が関わっていることが、多くの研究者により証明されてきました。 ここで紹介する論文[1]は、最近、Scienceに発表された論文ですが、...
2025年12月27日


No.337 疲れた中年男性の「社会性睡眠時無呼吸症候群」とは何か?
2025年12月21日 肥満気味の男性、中間管理職。毎日、遅くまでの勤務にヘトヘトである。付き合い上の飲み会も時々ある。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断され、CPAP治療を開始したが、鬱陶しい上に、酔って帰宅のことがあり、装着を忘れることがしばしばある。しかも、使っていない出張が時々ある。受診のたびに、きちんと使用するようにとうるさく言われるが、その時にはいたく反省するが毎日のことゆえ、うまくいかないことが悩み、という患者さんは多い。 重症OSAの治療は、CPAP療法であることはすでに確立された治療法ですが、先の男性のような悩みは共通しています。 睡眠のパターンは極めて個別性の高い生活習慣です。日本人は、欧米人と比較しても睡眠時間が短い、と言われます。週末こそは、のんびり、マイペースで過ごしたいと思う人は多いことでしょう。「華胥(かしょ)の国に遊ぶ」という言葉があります。中国古代の黄帝が昼寝をして理想郷「華胥氏の国」に遊んだ夢をみたという故事にちなむものです。 ここで紹介する論文[1]は、中高年世代に共通する生活習慣では...
2025年12月21日
No.336 期待される間質性肺炎の新しい治療薬
2025年12月1日 肺は、最大の容積を持つ内臓です。大人では、ほぼ、バケツ一杯に相当する容積を持つ臓器ですが、その内部構造は極めて繊細です。気道から取り入れられた空気は肺胞の壁を経て酸素を取り込み、体内で不要となった二酸化炭素を外に排出します。平均的な大人で肺胞の総数は約3億個。肺胞は直径約0.1mmから0.2mmの小さな袋であり、壁の厚さは約0.5μm以下と非常に薄く、その総表面積は、100平米以上。2階建て一軒家の床面積に相当します。これを使って死に至るまで、生涯、休むことなく呼吸運動を続け、身体の全臓器の機能を支えています。 間質性肺炎は、 肺胞の壁 を中心に発症する線維化を伴う炎症病変であり、肺胞の中に広がる細菌性肺炎とは区別されます。線維化を元の構造に戻すことは、例えていえば、もつれた蜘蛛の糸を元の構造に戻すような難しさがあります。 間質性肺炎 の効果的な治療法の開発は、肺がんの化学療法と並び呼吸器領域の最大のテーマといえるものです。 特発性肺線維症(IPF)は、多数に分類されている間質性肺炎を構成する病気の一つです。慢性進行
2025年12月1日
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