No.347 長引く咳で困っているとき
2026年3月2日 長引く咳で困っている人は少なくありません。特に、花粉症シーズンが近づき、多くなってきた印象があります。 長引く咳の原因は多く、治療が難しい場合がありますが中には薬の副作用で咳がでることがあります。注目されるのは、最近、発表された糖尿病の治療薬として使われているグルカゴン様ペプチド1受容体作動薬が慢性咳に関連があるのではないか、という指摘です(UptoDate, 2026年2月26日報告)。現在、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬は、糖尿病だけではなく 美容を目的とした痩せ薬 として使われることがあります。痩せ薬としてグルカゴン様ペプチド1受容体作動薬を用いている人では、保険診療外の取り扱いとなるので医療管理が甘くなっている可能性があります。以下が、その概要です。 「グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬(GLP1-RA)の使用頻度が増加するにつれて、臨床的に関連性のある副作用は頻度として(使用者の母数が多くなるので副作用比率として)少なくなると考えられてきた。少数の副作用例があっても、使用者数が増加すれば比率としては減
No.346 社会的な背景が大きいCOPD ―コロンビア、英国にみる苦悩と対策―
2026年2月25日 COPDの発症は、遺伝的な負荷要因も指摘されていますが多くの未解決な社会的背景を特徴としています。これは喘息とは異なる点の一つです。 COPDの主な原因は喫煙と大気汚染と言われてきましたが、喫煙率が低下し、公害と騒がれた時代の大気汚染はわが国では今では改善してきました。わが国の統計ではCOPDは次第に患者数が減りつつあると言われています。しかし、私たちのような診療現場では、COPDは次第に減少している病気とはとても言えない状況です。重症者は減少していますが軽症者は決して減少していないようです。 途上国を含めた多くの国では、環境要因と社会的な啓発活動、未解決な政治的問題など多数の対策が不十分なまま、COPD患者数は増え続けています。 「WHO 世界電子タバコ使用状況推計」では、世界中で 1 億人以上が電子タバコを利用し、成人では少なくとも 8,600万人の使用者がいる。その大半は高所得国に居住している、といわれます。少なくとも1,500万人の子ども (13~15歳) が既に電子タバコを使用。...
No.345 成人喘息に対する新しい治療薬 ― 抗サイトカイン生物学的製剤の効果 ―
2026年2月19日 喘息の症状やこれに伴う肺機能が悪化するエピソードは、 喘息の急性悪化 と呼ばれています。これらは喘息の症状として現れることもあれば、ウイルス性上気道感染症、アレルゲン、大気汚染やその他の刺激物への曝露、コントロール治療薬の不遵守(指示されたように治療薬を使っていない)、または未知の刺激などの「引き金」に反応して既知の喘息診断を受けた患者さんに起こることがあります。 喘息として治療を受けている人が急に症状が悪化する「急性喘息の悪化」は患者さんにとっても医療者側にとっても大変な負担であり、危険な状態です。若いころ、病院で当直をしていると夜中に救急車で搬送されてくる患者さんが2,3人はいたものです。それも深夜帯から夜明けに多く、緊急検査を行い、ステロイド薬の点滴や酸素吸入などの救急治療の指示を出すまでには1時間近くかかります。当直明けはヘトヘト状態で、続く日勤帯の業務を行わなければならない。呼吸器内科医の希望者が少ない理由の一つでした。実際、 急性発作による喘息死 が多かったのもこの時代でした。 教科書には次のように書
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