No.363 呼吸リハビリテーションの問題点と在り方
2026年7月9日 慢性の病気の多くは、治癒、すなわち完治というより病気を持ちながらも快適な生活を最大限、工夫していくことが大切だ、と考えられています。その最大限の工夫の一つがリハビリテーション(リハビリ)です。階段や登り坂での息切れなど日常生活の上で苦しさ、不自由さを起こす呼吸器疾患の治療では、特にリハビリテーションという治療法を持ち込むことが大切です。多くの疾患の治療で、リハビリが大切なことは、内科学の祖と言われるウィリアム・オスラー (1849-1919年)が100年以上前に指摘していますが、いまに至っても十分とは言えないほど多くの問題点を抱えています。実際、多くの患者さんに対し、限られたスタッフ数の診療現場で継続的なリハビリの実現は容易ではありません。 一般のメデイアは取り上げていませんが、医療記事では、世界保健機関(WHO)事務局長が改めてリハビリの大切さを提言しています[1]。以下が概略です。 「第158回執行理事会において、リハビリテーションの保健システムへの統合を監視するための世界的な指標を概説した報告書を発表した。これらの
No.362 痩せ型と肥満型COPD:体型で異なる問題点
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は邦訳では慢性閉塞性肺疾患。肺気腫と慢性気管支炎の病名を一つに表現した簡略病名であり、英語読みの頭文字を取って略語とした正式病名です。すでに半世紀以上が経過していますが同じような慢性疾患として定着している糖尿病と比較すると分かりにくい病名といえそうです。その糖尿病も、尿の中に糖が出てくる病気であると、単純化できないくらい精緻な病態が明らかになってきており、適切な病名のあり方が議論されていると言われます。双方ともいまや、人口に膾炙する便利な病名ですが、科学情報の進歩に合わせた変更、修正作業は容易ではないようです。さらに単純化された病名と検査により次第に明らかにされてきた複雑な病態の乖離は、病気自体を患者さんに分かり易く説明するのは、難しく、診療時間がかかるのは避けられません。 COPDは、体型から2つに分けられることが古くから知られています。痩せ型が肺気腫型であり、太った人では慢性気管支炎型が多いと言われます。両者を鑑別するには階段歩行時のうしろ姿の観察が分
No.361 間質性肺炎を悪化させる要因、逆流性食道炎
2026年6月23日 肺という臓器は、外から触ると、病変がない健康な状態では押せばへこむがすぐに元に戻る弾力性に富んだ臓器です。また、肺は綿菓子のようだ、と表現されることがありますが綿菓子と違うのは元に戻ろうとする弾力性があるからです。 病気が起こると弾力性が変化します。簡単にいえば、膨らみ過ぎが肺気腫や高齢者の肺であり、逆に、縮こまりやすく、膨らみにくくなるのが間質性肺炎です。肺気腫も間質性肺炎も繊細な肺胞の立体構造が破壊される病気です。肺気腫では肺胞は薄くなり、壊れ、やぶれた状態が多くなりますが、間質性肺炎では、厚くなり、伸びが悪くなります。いずれの状態も酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するという肺の働きを大きく低下させます。呼吸をするためにエネルギーを過剰に使うことになり体力を消耗し、呼吸は苦しくなり、活動度も低下させます。 間質性肺炎では肺胞の壁に線維成分(コラーゲン、エラスチン、多糖体など)が無秩序な状態で溜まるのが問題です。「びまん性肺疾患」と呼ばれることもあります。弥漫(びまん)あるいは瀰漫(びまん)という意味は「一面に広がる
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