No.370 早期肺がんの治療判断の難しさ
2026年9月21日 秋の検診シーズンになると、胸部のX線検査で異常が指摘された、という理由で受診する方が多くなります。偶然、発見された肺がんは、多くは初期の段階であり、手術治療にまでもっていける可能性があります。わが国での検診体制は、欧米の医療専門家グループの中でも高い評価を得ています。 臨床医学におけるトップジャーナルの一つ、New England Journal of Medicine誌に肺がんの検診に関する論文が掲載されました[1]。 わが国を含め、欧米諸国では、それぞれの医療事情が異なることを背景にして、肺がんの診療ガイドラインが決められています[2]。本論文で、取り上げている内容は、呼吸器医だけでなく多種職の医療者に向けた解説です。 いま、早期発見を目的とした肺がんの検診はどのような評価となっているのか、具体例を挙げ、解説しています。記載の中で、もっと注目されるのは、医師が患者さんにどのように説明し、対応するか、について述べているところです。説明を受ける側の患者さんにとっても参考になる点が多い、と思われます。 ...
No.369 COPD治療で難しい増悪の判断
2026年9月9日 気候の変わり目の時期には咳や痰、息切れなどの呼吸器症状で受診する方が多くなります。アレルギーだけでなく、インフルエンザなどウィルス性の感染症も増えるのでしょう。COPDの増悪も気候の変わり目に多くみられます。 COPDはタバコ病と呼ばれた時期がありました。現在では喫煙者の2割余りが発症するだけといわれ、中高年男性に多いタバコ病というみかたは、適切ではありません。発症しやすい人がいて、しかも、一部は幼少時からすでに発症しているというデータがあります。全貌がいまに至っても明確にとらえにくい病気であることがその特徴であり、また長期の治療を難しくする点です。 COPDの典型的な症状は、咳や痰、息切れですが、これらの症状も訴え方により病状の正確な把握が難しく、かつ個人差が大きいことが知られています。COPDの経過で、注意しなければならないことは以下の3点にまとめられることが知られています。 1)経過中に起こる肺炎など感染症で急に病気が悪化する➡増悪と呼ばれる。 2)心血管病変が多い。なかでも働き盛りにおこる心筋梗塞は大問題である。
No.368 長引く咳で困っている
2026年8月28日 呼吸器の病気を疑わせる症状には、咳、痰、息切れなどがあります。中でも咳は成人が外来治療を受ける理由で最も頻度が高い症状として知られています。医学用語では咳は咳嗽(がいそう)と呼ばれています。 咳は、呼吸器疾患の共通する重要な症状の一つであり、簡単な治療で改善することも多い反面、背後に重大な疾患がある場合もあり、あなどれない重要な症状です。電車の中での咳こみやコンサートでの咳は嫌がられる気がしてためらいがちになります。長く続く咳は、日常の生活に多大な影響を与えます。 ここでは、カナダから報告された慢性の咳に関する最近の情報を整頓していきます。 咳のガイドラインは、英国胸部学会(BTS)、欧州呼吸器学会(ERS)、米国胸部医師会(ACCP)があり、わが国では日本呼吸器学会(JRS)が、『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版 2025』を発表しています。わが国では、EBM医療情報事業(Minds)という管理機構の下にさまざまな診療ガイドラインが並ぶことになっています。Mindsは、質の高い診療ガイドラインの普及を通じて、患者
.png)






















