No.372 不眠を訴える高齢者の認知症と睡眠障害の関係
2026年10月11日 高齢の患者さんの中には、寝つきが悪い、夜中に頻回に目が醒めるので熟睡ができない、昼間は眠い、と訴える人がかなりの割合でいます。第一線で働く多忙な時期が過ぎ、退職後には、のんびりした生活になり、いつでも昼寝ができる気楽な環境にあるにも拘らず、不眠の苦しみを訴える方が多くなります。 夜間、熟睡できず、頻回の寝覚めは、昼間のすっきりした生活を妨げる原因となり、これがつらいと訴えるのです。その結果、「不眠」という訴えになるようです。 さらに90歳代と70歳代を比べると、むしろより若い世代の方に多い印象があります。多くの90歳代の人では、重症の睡眠障害もなく、また最近、問題にされているように睡眠中に繰り返し起こる低酸素血症が、癌や心臓、脳の血管病変などの誘因となることがなく、これらに伴うリスクを潜り抜けてきた方が多いせいでしょうか。 草木も眠る、と表現されているように生物に共通する睡眠。新しい議論が進む中での「睡眠の質」とは何か?長い間の生活習慣に関わる、個人的な訴えですが、睡眠科学が進歩してきた現代では、客観的な指標も発
No.371 肺の老化とは何か
2026年9月28日 9月21日、敬老の日。この日、毎年、恒例のように発表される統計があります。 「65歳以上の高齢者数は、3,624万人で前年より2万人増えた。総人口に占める割合は29.6%であり、統計データがある1950年以降では最高を更新した。高齢化率は1950年以降、一貫して上昇している」。「日本の高齢化率は、人口が4千万人以上の世界39か国の中で最も高かった」(朝日新聞、2026年9月21日)。 「2022年のデータでは、男性の平均寿命は、81.05歳、女性は87.09歳となっている。これに対し支障なく日常生活を送れる健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳で大きな差がある」(読売新聞、2026年9月21日)。 さらに死亡原因の報告では、1位―悪性腫瘍、2位―心疾患、3位―老衰、4位―脳血管障害、5位―肺炎。他方、WHOが発表(2025年)している世界の死亡原因の統計では、1位―虚血性心疾患、2位―脳卒中、3位―COPD、4位―下気道感染症、肺炎、5位-肺がん、となっています。WHO統計では5位までの死亡原因に呼吸器疾患が
No.370 早期肺がんの治療判断の難しさ
2026年9月21日 秋の検診シーズンになると、胸部のX線検査で異常が指摘された、という理由で受診する方が多くなります。偶然、発見された肺がんは、多くは初期の段階であり、手術治療にまでもっていける可能性があります。わが国での検診体制は、欧米の医療専門家グループの中でも高い評価を得ています。 臨床医学におけるトップジャーナルの一つ、New England Journal of Medicine誌に肺がんの検診に関する論文が掲載されました[1]。 わが国を含め、欧米諸国では、それぞれの医療事情が異なることを背景にして、肺がんの診療ガイドラインが決められています[2]。本論文で、取り上げている内容は、呼吸器医だけでなく多種職の医療者に向けた解説です。 いま、早期発見を目的とした肺がんの検診はどのような評価となっているのか、具体例を挙げ、解説しています。記載の中で、もっと注目されるのは、医師が患者さんにどのように説明し、対応するか、について述べているところです。説明を受ける側の患者さんにとっても参考になる点が多い、と思われます。 ...
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