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No.12 包括的呼吸リハビリテーション

  • 執筆者の写真: 木田 厚瑞 医師
    木田 厚瑞 医師
  • 2019年10月15日
  • 読了時間: 2分

更新日:2023年3月15日

2019年10月15日


 COPD(慢性閉塞性肺疾患;肺気腫、慢性気管支炎)の治療は「薬による治療」と並び「薬以外の治療」を組み合わせて行うことが大切です。

後者には、禁煙だけでなく適切な運動や、栄養の改善などがあり体力を改善し、行動範囲を広げ、「増悪」を起こさないように一人ひとりの患者さんに具体的な方法を教えていくことが大切です。

私は、こうした「薬以外の治療」の全てを包括的呼吸リハビリテーションと名付けています[1]。


包括的呼吸リハビリテーションは、重症になればなるほど必要となります。特に在宅酸素療法を実施中の方は、薬を使うだけ、酸素を吸うだけでは治療効果を上げることはできません。

包括的呼吸リハビリテーションはCOPDの長期治療にもっとも適していますが重症の喘息や気管支拡張症などにも応用することができます。


図1は、包括的呼吸リハビリテーションの概要を模式図で示したものです。

評価を行い、プログラムを実施し、成果を期待する、という流れから成り立っています[2]。


(図1)

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Q. 包括的呼吸リハビリテーションで期待できる治療効果


・運動耐容能が向上する。その結果、活発な日常生活が期待できます。


・正しい機器類の使用。重症のCOPDの治療は在宅酸素療法だけでなく在宅人工呼吸療法も広く実施されるようになってきました。機器の進歩は急速ですがこれを使いこなして効果を高めることが必要です。


・アドヒアランスを高める。吸入薬や、酸素吸入などは指示に従い使わなければ効果がありません。


・自己管理能力を高める。医師や看護師は、どうすれば治療効果を高めることができるかを教えることはできますが日常の生活では自分で管理していくという姿勢を貫くことが大切です。


・病態の理解。自分自身の病気がどのように起こっているか、悪化しないために何をなすべきか、を正確に知っていなければなりません。




参考文献:

1.包括的呼吸リハビリテーション:チーム医療のためのマニュアル、木田厚瑞 著、メデイカルレビュー社、1998年。


2.息切れで悩むCOPD、 木田厚瑞 著、法研、平成29年。


※無断転載禁止


 
 

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