• 木田 厚瑞 医師

No.13 呼吸リハビリテーションをどのように継続するか

2019年10月18日


COPD(慢性閉塞性肺疾患;肺気腫、気管支拡張症)は、タバコ煙などをくり返し吸い込むことにより肺の中に広い範囲で炎症を起こし、肺組織を破壊してしまうだけでなく炎症は全身の臓器に及び多種の病気を同時に引き起こす怖い病気です。 坂道や階段を上るときに息切れが強くなり、肺の機能は低下し、やがて外出ができなくなり、さらに進むとトイレに行くのがやっとの生活になります。

呼吸リハビリテーションは、薬と並び、もっとも効果的な治療で、薬よりもはるかに安上がりの治療法の一つです。ところがわが国だけでなくCOPDの対策が進んでいると云われる英国、米国でも必要な呼吸リハビリテーションを受けている患者さんは少数に過ぎないと云われています。


Q.なぜ呼吸リハビリテーションは広まらないか

米国でCOPDの患者さん、約22万人について調査した結果、その問題は、次の3つに絞られることが判明しました[1]。

・治療を受けられる医療機関が限られている。

・そこに通うのが難しい。

・開始しても継続していくのが難しく途中で中止してしまう。

この調査結果を元に対策として次のことを結論としています。

・呼吸器の診療に関わる医療者が熱意をもって勧めることが必要である。

・継続してリハビリテーションを行う意味を患者さんに分かりやすく、くり返し説明する。

・通院しやすい場所を開設する。


Q.患者さんが住む地域や自宅で呼吸リハビリテーションを続ける

最近の研究では、自宅や地域で呼吸リハビリテーションを継続すると医療機関に通院して行う方法に劣らず息切れを改善し、COPDにより低下した生活の質を向上させる効果があることを証明した論文が増えてきました。

自宅で継続するために、医療者が定期的に自宅に電話して患者さんを励まし、注意点を教えていく方法も効果があることがわかりました。

しかし、先の研究[1]ではこの方法には次の2つの問題点があることが分かりました。

・リハビリテーションを続ける意味を患者さんが理解していなければやはり中断になってしまう。

・細かく注意点を教えていかなければ患者さんの自己流の運動となってしまい、期待通りの効果が上がらない。



Q.自宅で行う運動療法

重症のCOPDで酸素療法を行っている患者さんに自宅でどのように運動を続けてもらえるだろうか。私たちは、COPDの患者さんに協力して頂き、自宅での運動療法の効果を調べる研究を行いました[2]。

患者さんの一人ひとりに毎日、日課として運動をすることの大切さを伝え、具体的な方法として自転車エルゴメーターを購入して頂き、自宅の居間で毎日、運動して頂くことにしました。

運動は嫌いという人や中には自転車に乗れない、あるいは腰痛や関節痛があり運動ができないという人もいましたし、運動はするけど自転車エルゴメーターは嫌という人たちもいました。計130人余りは、ほぼ2分された選択でした。

3年間、協力して頂いて判明したことは、自転車エルゴメーターを選んだ人は80%が3年間継続して運動していました。これに対し、選ばなかった人たちの中で3年間、運動を続けていた人は60%でした。特徴的なことは、選んだ人たちの運動能力は、ほとんど低下しておらず増悪の回数も、選ばなかった人よりもはるかに少なく経過していました。

在宅酸素療法を行っているCOPDの患者さんが自宅で自転車エルゴメーターを使い運動する方法は、息切れが強く外出が少なくなった患者に適した運動です。問題は、安全にしかも運動効果を挙げるために治療にあたる医師、看護師らがチームを組んで細かく、継続して指導していくことができる体制が組まれているかどうかです。私たちのクリニックではいまも自転車エルゴメーターを使った運動を勧め、実践しています。



参考文献:

1.Spitzer KA, Stefan MS, Priya A, Pack QR, Pekow PS, Lagu T, et al.Participation in pulmonary rehabilitation after hospitalization forchronic obstructive pulmonary disease among medicarebeneficiaries. Ann Am Thorac Soc 2019;16:99–106.3.


2.Wakabayashi R. et al.Effectiveness of home-based exercise in older patients withadvanced chronic obstructive pulmonary disease: A 3-year cohort study. Geriatr Gerontol Int 2018; 18: 42-49.


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