• 木田 厚瑞 医師

No.25 タバコが皮膚の老化に与える影響

2019年12月24日


多くのCOPD(慢性閉塞性肺疾患;肺気腫、慢性気管支炎)の患者さんの顔を見ているうちに、顔の肌つやに差があることに気づきました。

特に重喫煙者の顔は赤みが少なく、くすんだように見えることがあります。

禁煙して数年が経つと明らかに顔色が良くなってきます。


女性の双生児が52歳に達した時点で顔の皮膚、表情を比較した論文があります[1]。


52歳双生児で比較した喫煙による影響


喫煙歴があり、飲酒の習慣があった人では、なかった人と比べて明らかな差があります。

喫煙習慣がある人では、皮膚のシミが増え、顔の筋肉が部分的に委縮して全体として目つきが鋭い、きつい表情になっています。

若い女性は、美容のためにも喫煙は続けるべきではありません。

この理屈を科学的に検証した論文があります[2]。




Q.なぜ研究を始めたか


COPDの9割以上は喫煙が原因ですが、病気は肺だけでなく、心血管病変が平行して進んでくることが知られています。

この論文[2]の著者たちは、この機序を解明する目的で皮膚の毛細血管を血液がどのように流れていくかを測定する機器を発明しました。

詳しくは説明を避けますが、測定は痛みを伴わず、繰り返し行えるという利点があります。

心血管の状態を知るために、ためしに顔の皮膚で測定してみたらCOPDの患者さんでは毛細血管が大きな傷害を受けていることが判明しました。




Q.何が分かったか


COPD、喘息、健康人をそれぞれ、26人、23人、20人選び比較しています。

COPDと健康人の比較では、前者の毛細血管を流れる血液は減少していました。

ところが、喘息とCOPDの比較では、検査項目の一部ではCOPDの方が明らかに低下していましたが、差がみられない項目もありました。

COPDと喘息の比較では、重なり合った病変が見られる人がいることになります。

実際、COPDと喘息が重なり合った患者さんがかなりいることが最近、判明してきました。喘息でも心血管病変がみられる人がいることになり、治療上では重要な情報です。




ポーランドの研究者たちによる発明機器ですが、彼らは心血管病変が多い糖尿病の診療で使うことを目的としていたようです。

機器の精度を上げること、多数例を比較して背景の差を明らかにすることができれば、将来、有望な検査方法となりそうです。




参考文献:

1.Doshi DN, et al. Smoking and skin aging in identical twins. Arch Dermatol 2007; 143:1543


2.Majewski S, et al. Assessment of microvascular function in vivo using flow mediated skin fluorescence (FMSF) in patients with obstructive lung diseases: A preliminary study. Microvascular Research 127(2020) 103914


※無断転載禁止


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